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豊かな森と滝でヒーリング
doryunotaki
白神山地、屋久島、八ヶ岳など森が豊かな山は、水流もまた豊富だ。そんな渓流沿 いを歩いていると、なぜあんなに気持ちがいいのだろうか? とくに滝のそばは明ら かに空気が違う。清浄さを感じる。 まず、考えられるのが森林浴効果だ。滝の多くは周囲を樹木に囲まれており、フィ トンチッドが満ちている。沢音も心を癒す要因だ。渓流のせせらぎをスペクトル解析 すると、1/fゆらぎという音が出ているというが、これは脳にリラックス感を与え るα波を多く出させる音だ。 目にも優しい。さまざまな色があふれている都会からやってきた者にとって、水流 や苔むした岩、樹木など自然の色は目の疲れを癒してくれる。森の滋味が滲み出した 清流は飲んでも美味しい。まさに滝の回りは五感すべてを潤す環境が整っている。 滝が気持ちいいもう一つ理由にマイナスイオンがある。最近、空気清浄機やエアコ ン、飲料水など、さまざまな分野で謳われているが、自然界でもっともマイナスイオ ンが多いのが滝壺の側なのだ。測定場所によっても違うが、都会の空気中と滝壺(高 さ10m)で比べた場合、滝壺のほうが50倍以上もマイナスイオンが多かったという調 査結果もある。 では、マイナスイオンとは何か。簡単にいえばマイナスの電気を帯びたごく小さな 微粒子だ。プラスの電気を帯びていればプラスイオンということになる。これらのイ オンは空気中では窒素や酸素、炭酸ガス、水素などが混ざり合って浮遊している。 これらのイオンは人間にはどんな影響を与えるのか。血液中にプラスイオンが多く なると血液が酸性化し細胞の新陳代謝が低下し、逆にマイナスイオンが多くなると血 液は弱アルカリ性になり新陳代謝を活発化させるという。 マイナスイオンは「空気のビタミン」ともいわれ、イライラを抑え精神を安定させ たり、疲労感の軽減や老廃物の排出などを高め、人間本来の自然治癒力を高める働き があるという。なるほど、マイナスイオンが満ちた滝壺が気持ちがいいわけだ。 次の週末、心と体を癒しに豊かな森と滝を見に行こう。 (空木恵佑)