THE WAY OF MY SKI RACING LIFE
実名入り ザ・レーサーの道
カルデロンカップでは、マスタークラスに19人もエントリーがあった。前夜 のウエルカムパーティにも出席せずしっかりとベッドで休養をとっていたので、この ことを知ったのはレース当日の朝だった。いつもの少人数での勝負とたかをくくっていたが、 19人ともなれば確率的にも、甘い汁をすうのは難しいだろう。 聞けばあの北田というおやじもマスターにでるということだ。北田にはかつて一度も スキーのレースで勝った記憶はないから、その実力の差はいかんともしがたい。その ほか榎本とか小田切とか池上、政井とか、年はくっているが油断のならない敵がたく さんいることがエントリー表をみると分かる。 マスタークラスのレースは私が最初の出走順だった。おもいきり飛ばしたがそれほ ど早い気はしない。ランセクションでもモタモタしているのが自分でもわかる。なん とか転倒もせずゴールイン。ふーふーいいながら電光掲示板をみる。1分10秒台。 2番手の榎本がゴールをきった。1分17秒。ふふふ。 つぎにやってきたのが北田だった。掲示板にタイムがでる。1分7秒台。また負けた 。つづく10数人にはなんと10秒を切る者はいなかった。みんなオレよりも若いの に、案外たいしたことはないのである。 二本勝負だから、つぎにうまくまとめればけっこうイイ線いけるかもしれない。も し北田がコケでもすれば優勝が転がり込んでくるかも知れない。甘い予感が脳裏をう ずまく。とはいえ北田は転ばないことで定評がある男なのである。やっぱり難しいか …。 2本目。同じような滑りでなんとかゴールに達する。1分9秒台。1秒縮めてやった 。ふふ。北田は?と見ると、破たんなく滑ってくるのが見える。くそ。ゴール。1分 8秒台。また負けた。 先週の白馬クラシックレースでは二日酔いで出走してゴロ負けした。今週こそと、 酒は夕食までにとどめ(それでも、もう飲みたくないというほど飲んだのだが)パー ティにもでず早寝遅起きで万全の体制をつくったのに、クヤシー。 表彰式での結果は2位だった。ま、実力相応というところか。転倒することもなく 2本ともまとめたのだからよしとしよう。いやそれにしても昨日の夜のパーティのジ ャンケン大会では笠原がスキーをあてたたり、北田が靴をあてたという。行けば良か った。 それに今、マスターの1位の北田はカップをもらって、おまけにパタゴニアのパンツ をゲットし、さらに佐藤錦1箱の副賞までもらってニコニコしている。この夏には山 形のサクランボが自宅に送られてくるのだ。それにひきかえ…、私は悔しさでムカム カしてきた。手に持っていた唯一の景品、参加賞のウイスキーグラスがポロリと床に 落ちる。ガチャーン。長谷川おとうさんがちょうど挨拶をしているところで間がわる い。あのバカ西原が、このときぞとばかりに、大恥おとこ! と叫んで大笑いしてい る。なんということだ。 次回こそうまい方策をかんがえなければ。そうだ、北田のいないレースに出るように しよう。それでなんとかなるかもしれない。北田のでてこないレースをを調べだして 、そこに私はでる算段をしなければならない。それが50歳を目の前にした私のレー サーとして残された唯一の道なのだ。 おわり。BACK TO "Beyond Risk" PAGE(寄稿とお便りページの目次へ)
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