PARA FLIGHIT IN ASPEN,COLORADO 1997

アスペンのパラフライトメモ

伊藤忠男


ASPEN AREA AND CLIMBING & PARA SCHOOL

 


この夏にUSAコロラド州アスペンでパラ・フライトしました。“山飛び”ではなく純然た  
るエリアですが、日本ではちゃんと“紹介”されていませんので、とりあえず簡単な
メモ程度のことをお知らせします。エリアといってもかなりワイルドなので、このホ-
ムペ-ジに載ってもそうおかしくないんじゃないかと思います。なにしろ”人工壁のコ
ンペ”だってRock&Snowだもんね。

コロラドはご存知のように、ヨセミテ同様アメリカの伝統的なクライミングのメッカです。
今回はロープを繋ぐパートナーがいないので、岩だらけのボウルダーでも仕方なく
地元のマーク・ファーガソンというパイロットと飛ぶつもりでしたが、毎日凄いサンダース
トームで実現しませんでした。
天気はアスペンに移動してから好転しました。
アスペンはボクの苦手な尻がもぞもぞするほどカンペキな観光地で、スイスやカナダ
BCなんかのリゾートとおんなじように死にそうに退屈な街です。

でも、ボクが訪ねた地元のパラ・スクールは母体がクライミング・スク―ルで、当然  
パイロットはクライマーでもありました。話が“岩”と“空”の間を行ったり来たり
してボクはあっという間に溶け込むことができました。ERのカーターみたいな好漢  
、チャック・スミスは北九州で行われたワールドカップに出たそうですが、ボクは生  
まれてから2時間だけシゴトの打ち合わせでそこへ行っただけだというとびっくりして
いました(日本もそれなり広いんだって)。  

エリアのデータを思い付くままにメモしますが、核心はマッドマックスの車みたいに  
改造したピックアップの荷台に乗ってのTOまでの40分。どんなおまじないも役に  
立たない恐ろしいダート(まるでハンバーガーヒルを攻め上がる戦車ってかんじ)を  
やり過ごし、生きてTOに着ければあとは楽勝~。

位置と地形

顕著な北米大陸の分水嶺=インディペンデンス・パス(3500m)のすぐ西に位置  
するアスペン一帯は典型的な氷河地形で、街はすでに後退してしまった氷河の押し出  
しで形成されたと考えられている標高2000m前後のモレーン台地に展開していま  
す。また、思いのほか高い3400mほどの森林限界より上は巨大なU字型カールと  
なっています。
エリアはこの地域の中心的なスキー場、アスペン・マウンテン(3400m)を南限  
に直径約20kmの範囲(日本では考えられない広大な範囲!)に設定されていて「ア
スペン・パラグライディング」会社のコントロール下にあります。

ワルシス・サイトのフライト

ワルシス・サイトはシャモニのプランプラみたいにペロっとした1000m強の一枚  
壁で、ランディングもテイクオフから確認できます。特別な狙いがなければ、初めて  
のフライトはこっちからの方が良いと思います。典型的なサーマル・ソアリングのコ  
ンディションとなることが多いそうで、斜面際での神経質なターンは樹林帯の深さ、  
広大さも加えて、無謀と思われるかもしれません。サーマルは傾斜のない広い範囲に  
出ていますので、古いタイプの機体に乗るボクでも沈下を気にせず回せました。上手  
なひとはサーマル雲をどんどん乗り継いで遥かかなたへ消えてしまいますが、思いの  
ほか早い時間にバレーが強くなるためせいぜい2時間くらいで戻ってきます。

ルーティス・サイトのフライト

ルーティス・サイトは、あなどれません。テイクオフからランディングは確認できま  
せんし、距離もあります(L/D=5.3)。それにこっちを使うときは風もボーボー。ボ
クは初めてなのにいきなりここへあげられてしまいました。チャックにあそこでタ
ーンして谷側へ寄らず、リッジの真上を忠実に行け....云々とアドバイスされて出
てしまいましたが、やはりテイクオフとランディングを繋ぐイメージが組み立てられなくて、
かなりナーバスになってしまいました。常識なんでしょうが、一度降りてランディング
からの地形を頭に叩き込んだ方が良いフライトができるでしょうね、やっぱり(オンサイト


手続き

フライトには「アスペン・パラグライディング」の許可が必要で、許可を受けるため  
にはまずUSHGA(USAハング連盟)のメンバーに登録されなければなりません  
(これは簡単)。また、技能証明が必要ですが、IPPIカードは原則です。国内の  
ライセンスを見せて、自分のレイティング・クラスを説明すればことは足ります。
地元クラブのテンポラリー・メンバー(ビジターに相当)になって(10ドル必要)  
、ブリーフィングを受け、誓約書(死んでも文句言いませんみたいなこと)をなぞっ  
て、サインすれば、完了。

装備

携行を義務付けられているものは日本と同じです(木がものすごく高いのでツーリー
ラン用のロープは長めが良い、と思いますけど)。無線機は144MHZバンドです。エリ
アの範囲に含まれているエアポートからのコントロールも受けますので無線機は必須
です(ルーティスから出たときボクの下を飛行機が飛んでましたよ)。

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こんなところですが、もっと詳しく知りたい方はどうぞ連絡をください。

最後に付け足しますが、アメリカのパラグライダ-は相当マイナ-です。クライミング
以上に。従って、土地は広大でも無闇と決められていないところに降りたり、進入した
りすれば日本以上にやっかいなことになるかもしれません。ことに”空”はある種の人
々にとっては神経質な戦略空間という面も持っています。ヨ-ロッパ感覚での身勝手なフラ
イトは薦められません。

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