伊藤文博
マッターホルンの横を滑る
行程 1996年4月14日 シャモニ-グラモンテスキー場-アルジェンチェール小屋 15日 -トリエント小屋-シャンペックス-ベルビエールスキー場-モンフォート小屋 16日 -ディス湖経由ディス小屋 17日 -ピンダローラ-ヴィネット小屋 18日 -レヴェークのコル経由トレント小屋 19日 -ツエルマット メンバ 渡辺賢二、黒川春水、伊藤文博 シャモニガイド協会主催のシャモニ・ツエルマット6日間コースに参加。 ジャンとシルヴァンという名のガイド、お客は11人、フィンランド人二人、 オーストラリア人一人、イタリア人一人、あとは僕ら日本人三人とフランス人 。テレマークスキーは僕ら三人と、オーストラリア人のジョージ(数年前蔵王 坊平に居候していた)の四人。 北周りのフランスルートをとりましたが、天候にめぐまれたいへん愉しめまし た。二日目に二日分の行程をこなしたため、余裕ができ、5日目、6日目はヴ ィネット小屋からトレント小屋経由ツエルマットという大回りコースをとりま した。 うわさどおりのアルパインスキー向きのツアールートでしたが、テレマークス キーでもなんとかなりました。急斜面とアイシーなバーンが多い。トラブルは ありませんでした。ほかにも十人くらいのテレマーカーをみかけました。今回 のために取り付けたクトーが有効的でした。 ガイドつきなので、マイペースというわけにもいかず、早発、早着、休みなし の、シャモニガイド流のスピードツアーでした。パックも5キログラム!くら いとチョー軽モード。天気がいいのだから、途中で深雪をすべったり、して遊 べばいいのに、とも思いましたが、シャモニーガイドは頑固に昔からのやり方 を踏襲していました。スピード、イコール、セイフティということなのでしょ う。小屋には午後早くにつくことが多く、のんびりとした半日をすごしました 。 同じグループの客は中高年が多く、体力もありスキー技術もたいへんうまかっ たです。若いグループも多く、ガイドレスでツアーしているひとたちもたくさ んいました。天気がよければ、ま、大丈夫なのでしょう。 宿帳には数日まえに訪れたTAJメンバーの名前も二人ほどみられました。テ レマークでオートルートをツアーするのはいまやそんなに珍しくないようです 。日本人でも、僕が知っているかぎり、少なくとも一ダース以上はいるでしょ う。 十年前の竹内利春氏あたりがパイオニアのひとりといえるとおもいます。アゾ ロのエクストリームとカルフエクストリームの組み合わせだった、といいます 。僕らは皮靴がふたり、プラスチックがひとり。ジョージョはターミネータを はいていて歩きにくそうでした。 ハイシーズンのため、各小屋とも大入満員状態でした。次週にスキーマラソン があるとかで兵隊さんが多かった。急斜面をストックの股制動で直滑降するト レーニング中の選手にもあいました。雪がいくらかすくなかったのか、スキー を脱ぐことはありませんでしたが、ゴールデンウイークころだと歩くところが でてくるでしょう。 シャモニにもどり、モンブラン登山とスキー滑降を計画していましたが、さし もの好天がくずれあきらめました。