U・コウスト マクッス・テンプル
左:問題のナイフエッジを行く。ここからストンと切れた雪稜が東尾根側に落ち込んでいる
右:中間稜核心部上の快適なスロープ。バックにキーポイントの雪稜が見える
1996-3月18日 八王子在住のM・テンプルと豊島区のU・コウストが中間稜から東尾根を経て国境稜線へ9時間30分で 登った。 ポイントは稜中間部の急な草付き岩稜3ピッチと一ノ沢の落ちる支稜の頭を越えたところにある雪のナイフ エッジ。岩稜帯は草付きが氷化していて快適だったが、ナイフエッジは雪が悪く、エッジに馬乗りになって後 ろ向きに下降するなど、変態スノウムーヴを強いられた。この部分はビレイポイントがほとんど取れないの で、雪の付き方次第では問題になるだろう。 二ノ沢の頭に出たところで東尾根核心の雪稜が始まるから、登攀のスケールは結構大きく、地味だがクラシ カルな好ルートだった。 なお、中間稜から見る滝沢下部は、この時期にしては珍しく埋まっておらず、上部のルートを登るにはあ まり適していない状態だった。このことからして、今シーズンの谷川岳は例年よりかなり雪が少ないものと思 われる。衝立スラブは全層雪崩で完全に露出していた。