1999-4-2,3,4
ゆきくらだけ
menber 岩岳スキースクール主催のスキーツアに参加 松倉突撃レポーター 4月2日 7時に岩岳スキースクールに集合。先生は降旗義道さん。参加者は総勢17名(女性 4名、男性13名)。マッターホルンを登ったご婦人、キリマンジャロ遠征経験あり のお嬢さん、オートルートを滑ったことのある中年男性、岩岳に35年も通っている お父さん、そして京大スノーウルフOBの面々と、いずれも足自慢の人ばかり。山 スキーに混ざって、テレマーカー、スノーボーダーも各1人ずつ参加。 10時少し前に栂池高原スキー場のゴンドラ終点からシールをつけて登高開始。雨 がぽつぽつと落ち始め、それぞれレインウエアやアルパインジャケットに身を包む 。約1時間の登高で運行停止中の栂の森リフト下に逃げ込む。雨は一段の強くなり 土砂降り状態。20分の休憩で昼食をとる。 11時20分出発。急な斜面をジグザグに登高。一度小休止を入れて登る。雨でサン グラスが曇り視界が悪い上に、汗が目に流れ込み痛い。近くに見えながらなかなか 近づかない稜線。息は切れ切れ、雨が容赦なく叩きつける。つらい。ただ前を行く 人のスキーテールだけを見つめて登る。 12時15分。やっとのことで稜線を乗越し天狗原。大きく右へと巻き込むように進 む。風も強くなってきた。ゴアテックスのジャケットもオーバーグローブもまるで 効いていないように中が濡れてくる。 12時40分。少し下ったところでシールをはずす。いよいよ滑降。いきなり急な樹 林帯。ダケカンバをよけながら慎重に下っていく。雪はグシャグシャにくさってお り、すぐに足がとられる。それでもほとんどの参加者とも足前はすばらしく、先導 の降旗先生のあとをすいすいついていく。私だけがターンごと、ギャップごとに転 倒しどんどん置いて行かれる。スタッフの福島寛二郎さんが心配そうな顔で私につ きっきりで滑ってくれる。感謝。 振子沢に入るとコースはますます狭くなり確かなスキー操作が要求される。雪は べちゃべちゃで滑らないため、こければすぐ止まる。私は滑るよりも転倒したほう がかえって安全と思い、危ないと思ったらすぐに座り込みこけまくりながら滑る。 14時5分。全身濡れネズミで何とか蓮華温泉に到着。下着からグローブから、ザ ックの中からすべてびしょびしょ。絞ると水が滴り落ちる。 部屋に入り、スタッフバッグ内のなるべく濡れていない衣類を探し着替える。体 がとろけそうなほど温泉につかりひと心地つく。 夕方になると、雨は雪へとかわりどんどん積もっていく。 「降りすぎなければいいけど」 と降旗先生。15センチ以上になると、雪崩の危険も出てくる。 18時に夕食。トンカツをおかずにご飯を2膳食べる。 夕食後はひたすら食堂のストーブで濡れたものを乾かす作業。乾燥室がないので ぜんぜん乾かない。それでもうすら乾きになったところでOKとして、就寝前にも う一度温泉に浸かって眠る。 4月3日 朝から快晴。積雪は10センチほど。朝食を6時にとり、蓮華温泉を7時5分に出 発。 蓮華の森を滑り、平馬平まで下ってから滝見尾根を登っていく。しばらくで尾根 をはずれ、山腹を巻き込むように沢筋へと進む。雪倉ノ滝へ向けて傾斜はどんどん きつくなる。ジグザグの方向変換もたいへんで、キックターンを使う。 滝の落ち口上部(現在、滝はもちろん雪の中)の雪面に切れ間が見え、不安がよ ぎる。早く沢筋のトラバースを済ませたいと思うが、息が上がり足が進まない。強 い日差しですでに雪もくさりはじめ、時折トレースが崩れ足が安定しない。中年男 性一人だけがペースについて来れず、サブリーダーのカンさんに付き添われ脱落。 私もかなりへばってはいたが、やっとのことで沢の上部へと到着。雪倉岳山頂を 望むと雪煙が舞い風が強いことが一目瞭然。少し早いが9時30過ぎに昼食をとるこ とになる。右の踵がひどい靴擦れ。一度脱いでテーピングを行なう。 20分ほどの休憩を終え再び登高。沢筋を抜けてからは進路を右へ、雪倉岳の北斜 面へと回り込むように登っていく。すぐにまた息が上がり始める。はじめは40歩ご とに一息入れながら登っていたのが、30歩ごと、22歩ごと、10歩ごととなる。とき おり強風がふきつけ雪煙が頬にあたり痛い。こんな状態が長く続くと凍傷になるの だろうなと思いながらもびりっけつをゆっくりと歩いていく。 樹木がかたまっている標高約2200mあたりの傾斜のゆるいところで登高終了 。木に隠れながらシールをはずし滑降の準備を行なう。 ハイマツが一部出ている斜面を横滑りしながら下りていくと広く最高のバーン。 降旗さんがまず安全を確認しながら斜面を大回りしながら下りていく。OKの合図 で「待ってました」とばかりに若者たちがショートンターンでパウダーをかっとん で行く。京大スノーウルフの面々は二人一組で8の字を描きながらの滑降。そんな なか、私だけが斜滑降、転倒、キックターンを繰り返しながら落ちていく(まるで 滑っている感じはしない)。頭から何度つっこんだか分からない。 「いけない」と思った瞬間、左鎖骨に痛みが走る。動かしてみる。折れていない。 ひと安心し立ち上がり滑降。 「うっ」 今度は右股関節がギクッと言った。立ち上がろうとすると右臀部と大腿骨のつぎ目 が痛い。無理に足をどんとついてみる。何とか我慢できる。 あとはただただ騙し騙し滑り続ける。他のみんなとは相当離れてしまったが、今 日はずっとヒデ(北林英行)さんが、最後部から私を見守っていてくれる。 やっとのことで、瀬戸川にかかる吊り橋が見えてきた。そこで滑降は終了。そう 思った瞬間、またも転倒。板の前部と腿がくっつくほどに曲がり、靴が外れた。テ レマークスキーでは初。外れたおかげか足首の骨折は免れた。気を取り直して板を 再装着してみんなが待っている吊り橋脇まで滑り降りる。 一休みしてから、板を担いで吊り橋を渡って対岸へ。シールを装着して、13時 30分登高開始。いきなりの急登でジグザグに登っていく。風が強くなり、ジャケッ トを脱いでしまったことを後悔する。しかし、再び着ているとまたまた遅れてしま う。我慢して登り続ける。尾根を乗越し下っていくと平馬平。あとは今朝来た道を たどるのみ。15時10分。疲れ切ってなんとか蓮華温泉へ到着。一気に気が抜けると 、靴を脱ぐのも、階段を登るのもつらいほどにふくらぎがはっている。それでも、 部屋で服を脱ぎ捨てると一目散に温泉へ。靴擦れの痛みを我慢しながら熱い湯に浸 かり、ふくらはぎをマッサージ。 夕食を済ますと、ミーティングには参加せずに部屋に戻り8時半には眠りにつく。 4月4日 快晴。最高のツアー日和。しかし、我々は下山。8時半出発。少し滑ってからは シールをつけてひたすら車道歩き。最後に15分ほど急登をし稜線に。昨日のツアー コースがばっちり望める。10時半頃の早い昼食をとり、11時から滑降。私は今日も またびりっけつをこけまくりながら行く。12時過ぎに木地屋の集落に到着。送迎の バスに乗り込み、岩岳スキー場に13時過ぎに到着。 13時45分に準備を終え、帰宅の途に。昼食はお馴染みの大町の三洛でラーメン定 食。 高速は大きな渋滞もなく川崎さん宅に19時到着。わが家へは21時30分到着。 (松倉一夫記)