山小屋をつかって軽やかに
滝谷
1999-8/22-26 member:kurokawa,kisya 8-22 小川山で1日半楽しんで、昼過ぎには夕立ちから逃げるように上高地方面へむか う。ランドクルーザーを沢渡においてタクシーで上高地、シャワーのなか西糸屋 へ。 8-23 朝7時にあさごはんをいただき、ツカサ若主人にごあいさつして、すぐに出発。 カラサワ小屋で会おうよ、と黒ちゃんとバラバラに歩き出す。横尾まで2時間ち ょと。新しい橋をつくっていた。小屋の新風呂場も建設中で横尾はごたごたした 雰囲気。カラサワ小屋には12時前についた。黒ちゃんがもうテラスでまってい た。こんなに早いのは初めてとか。荷物が軽いのが勝因だ。ラーメンを食べてか ら、南稜をのぼって東稜にトラバースする。ショートカットして尾根にでてみる と、そこはすでにゴジラの背中の核心部をすぎたところだった。ま、いいか、と そのまま北穂高小屋へ直行。 4時前に小屋着。カメラマンの磯貝猛夫妻がいた。小山若主人からビールをいた だく。1年ぶりの小屋。外国の山ばかり登っている黒ちゃんが、日本の山はいい なあ、という。緑がきれいなのだという。ぼくにはアルプスの前山のようにも見 えるのだが。夜はおとなしく就寝。 8-24 朝から雨。もう下りたいとおもったが、ここはがまんと、マスターキート ンという漫画を借り出して1日過ごす。お昼には小屋の方たちにさそわれて釜上 げうどんパーティに出席。おいしかった。夕食もすばらしい。食器はすべて陶器 で、小皿がいくつも並ぶ。標高3000メートルのピークにしがみつく山小屋の食事 とはとても思えない。志も高いのである。 8-25 停滞のかいあり素晴しいご来光の朝をむかえる。360度のパノラマだ。岩が乾く のを待ち、8時過ぎに出発。ドームをまいて鎖場のところから滝谷にくだる。昨 年の7月に下見してあるから間違えはしない。どんどん下って、最後に25メー トルいっぱいの懸垂下降でドームの基部につく。登り気味にトラバースして中央 稜のとりつきへ。 ルートはどれかな、いちばん簡単にみえるのがそれらしい。1p目、ぼくのリー ドで30メートルくらい。凹角からチムニーへ。チムニーはハング気味にみえる。 どうやって越えようかとあせる。一度チムニーに入り込んで一段あがりそこから 外側にでてガバをみつけてよいしょよいしょと登るのが正解。5級はあるだろ う。 2pはつるべで黒ちゃんがいく。快適なフェイスで楽しめる。3p目は歩きに近い 登りで、4pが核心。黒ちゃんがいく。一箇所5.9くらいの核心がありリングボル トが打たれている。フォローのぼくはフリーで越える。黒ちゃんはアルパインで はそういうところは安全第一とA0で登るのがよいのだと、忠実に実践したとい う。4pは快適なフェイスでそんなに難しくない。最後の壁を越えたらいきなり 終了点の頭にでてしまった。11時。2時間もかからなかっただろうか。握手し てひとやすみ。 ここからどうやって下ろうか。天気は最高だからこのまま奥穂まで縦走して岳沢 をくだろうようと、スコスコと歩き出す。穂高小屋でラーメン。岳沢でコカコー ラ。黒ちゃんがいうには穂高の縦走は水筒もいらない。お金さえもっていれば空 身で充分とのこと。そのとおりだと思う。 岳沢をかけ下り、河童橋着4時。4時間ちょとの行程だから、カラサワ経由より 断然早い。ひざが痛むのが欠点といえる。 岩登りを楽しみ、稜線縦走も満喫する。山小屋を利用して軽い荷物で行動する。 そんな動き方が北アルプスの夏休みプランとしては名案かもしれない。良い山小 屋がたくさんあるのだから。 タクシーで沢渡にもどり、稜線から携帯で予約した平湯湯の里旅館に6時まえに は入館。温泉につかった。安房トンネルができ岐阜にいくのもあっという間にな ってしまった。実は新しくなった中の湯にも電話したのだが高いこといわれあき らめたのだった。 8-26 朝一で、再びトンネルを信州側にもどって、暑苦しい町なかを走り、僕の 車が置いてある山中湖へ帰荘。午後は小屋のペンキ塗をしたり洗濯したりしての んびり過ごす。夕食をどうしたかは思い出せない。